サカトのバイオハック

サカトのブログ

2026-01-01から1年間の記事一覧

褐色脂肪の暖房を止める免疫細胞

コハク酸というと、まず貝のうまみを思い出す。 ところが身体の中では、このコハク酸が褐色脂肪に取り込まれ、熱産生を動かしている。そして今回『Nature Metabolism』に掲載された研究では、その入口をマクロファージ由来のイタコン酸が塞いでいることが報…

ビタミンCは「抗酸化物質」なのか?

ビタミンCは「抗酸化物質」なのか? 「ビタミンCは抗酸化物質です。」 こう教わった人は多いと思う。 もちろん間違いではない。しかし、最近の研究を見ていると、それだけでは説明できない現象が次々に見つかっている。 今回紹介する『Cell Stem Cell』の論…

低い安静時心拍は、本当に良いのか

低い安静時心拍は、本当に良いのか 安静時心拍が低いと、なんとなく健康そうに見える。 アスリートは心拍が低い。心肺機能が高い人は、少ない拍数で全身に血液を送れる。睡眠中の心拍が低いと、よく回復していそうに見える。実際、安静時心拍が高い人ほど死…

ビタミンEは抗酸化だけではない

ビタミンEは抗酸化だけではない ビタミンEというと、まず思い浮かぶのは「抗酸化」だと思う。脂質の酸化を防ぐ。細胞膜を守る。酸化ストレスを抑える。たしかに、これはビタミンEの古典的な役割である。 しかし、ビタミンEを抗酸化ビタミンとしてだけ見ると…

だらだら食べは、腸の時計をぼかすのか

だらだら食べは、腸の時計をぼかすのか 食事について考えるとき、まず気になるのは「何を食べるか」だ。 糖質、脂質、タンパク質、食物繊維、発酵食品、カロリー。もちろん、それらは重要である。ただ最近は、もう一つ気になる視点がある。それは「いつ食べ…

窓際は代謝介入か:自然光と血糖コントロール

窓際は代謝介入か:自然光と血糖コントロール 血糖管理というと、まず食事と運動を考える。 糖質量、食物繊維、食後の散歩、筋肉量、睡眠。こうした要素はもちろん重要である。ただ、最近はもう一つの入力として「光環境」も気になっている。血糖は、食べた…

肝臓には「分泌の時間割」がある

肝臓には「分泌の時間割」がある 食事タイミングというと、まず血糖値の話になりやすい。 朝に食べるか、夜遅く食べるか。食事時間が毎日ずれるか。こうした話は、血糖スパイク、インスリン、体脂肪、概日時計といった文脈で語られることが多い。 しかし、20…

ブライアン・ジョンソンの自己免疫性胃炎と、バイオハックの本当の価値

ブライアン・ジョンソンの自己免疫性胃炎と、バイオハックの本当の価値 最も有名なバイオハッカーであるブライアン・ジョンソンが、自己免疫性胃炎を公表した。 公表は2026年6月末から7月初旬。本人の投稿や報道によると、正式に診断がついたのは2026年5月ら…

血糖は口の中から悪化するのか?

血糖というと、まず思い浮かぶのは食事とインスリンだろう。 糖質を食べる。 血糖値が上がる。 膵臓からインスリンが出る。 筋肉や肝臓が糖を取り込む。 この流れは、血糖調節を考えるうえで基本になる。 しかし最近、Nature Communicationsに面白い研究が出…

食事性コレステロールは本当に無視していいのか?

食事性コレステロールは本当に無視していいのか? コレステロールについては、よくこう言われる。 「食べたコレステロールは、血中コレステロールにあまり影響しない」 たしかに、体内のコレステロールの多くは肝臓でも合成されている。食事から摂ったコレス…

メチオニン制限からメチオニン設計へ

メチオニン制限からメチオニン設計へ 長寿研究では、タンパク質制限やメチオニン制限がよく出てくる。 メチオニンは必須アミノ酸の一つで、肉、魚、卵、乳製品などに多く含まれる。 動物実験では、このメチオニンを制限すると寿命が延びるという報告がある。…

糖鎖はなぜ難しいのか?──細胞表面に書かれた“枝分かれする暗号”

糖鎖はなぜ難しいのか?──細胞表面に書かれた“枝分かれする暗号” 前回、糖はエネルギーだけではなく、情報でもあると書いた。 では、その情報はどのように書き込まれているのだろうか。 ここで出てくるのが糖鎖である。 糖鎖は、糖が鎖のようにつながった構…

糖はエネルギーだけではない

糖はエネルギーだけではない 糖というと、まず思い浮かぶのはエネルギーだろう。 ブドウ糖、血糖値、カロリー、糖質制限。 私たちは糖を「燃料」として考えることが多い。 しかし、細胞の中で糖は燃やされるだけではない。 糖は情報にもなる。 最近、グリコ…

細胞は「栄養がある」をどう判断しているのか?

細胞は「栄養がある」をどう判断しているのか? 私たちは栄養というと、「エネルギーになるもの」と考えがちだ。 しかし細胞にとって、栄養は燃料であると同時に「情報」でもある。 例えば、細胞にはmTORという有名な経路がある。 栄養が十分にあると、「増…

なぜ今回のグルコサミン研究は注目されたのか?

なぜ今回のグルコサミン研究は注目されたのか? 前回まで、「グルコサミン使用者で認知症の進行が早かった」という結果だけでは、「グルコサミンが原因」とは言えないことを書いた。 観察研究には交絡があるからだ。 では、なぜ今回の研究は話題になったのだ…

なぜ観察研究は難しいのか?

なぜ観察研究は難しいのか? 前回、グルコサミンと認知症に関する研究を紹介した。 グルコサミン使用者では、認知症の進行や死亡リスクが高かったという内容だ。 しかし、この結果を見てすぐに「グルコサミンが認知症を悪化させる」と結論づけることはできな…

グルコサミンは認知症を悪化させるのか?

グルコサミンは認知症を悪化させるのか? 最近、グルコサミンと認知症に関する研究が話題になっていた。 グルコサミンの使用者では、認知症の進行や死亡リスクが高かったという内容だ。 これだけ聞くと、 「グルコサミン危険!」 と言いたくなる。 しかし、…

アーシングは怪しいのか。それとも電気的条件の話なのか

アーシングは怪しいのか。それとも電気的条件の話なのか アーシング、あるいはグラウンディングという言葉がある。 裸足で地面に立つ。 身体を地球に接地する。 そうすると炎症が下がる、睡眠が良くなる、疲労が取れる。 こう聞くと、かなり怪しい。 少なく…

超加工食品の問題は「食べやすさ」かもしれない

超加工食品の問題は「食べやすさ」かもしれない 超加工食品というと、体に悪いもの、太りやすいもの、避けるべきもの、というイメージがある。 ただ、その理由を考えるときに、 「添加物が悪い」 「人工的だから悪い」 「カロリー以上に太る」 と単純に考え…

HRVは便利そうだが、単独では使いにくい

HRVは便利そうだが、単独では使いにくい ウェアラブルで睡眠や回復を見ていると、HRVという数字が出てくる。 HRVは、Heart Rate Variabilityの略で、心拍変動と訳される。 心拍と心拍の間隔が、どれくらい揺らいでいるかを見る指標である。 一般的には、HRV…

睡眠スコアより、まず夜間心拍を見る

睡眠スコアより、まず夜間心拍を見る ウェアラブルで睡眠データを見ると、つい睡眠スコアや睡眠ステージに目が行く。 深睡眠が何分だった。 レム睡眠が何分だった。 睡眠スコアが高かった、低かった。 こうした数字は面白い。 ただ、体調管理として見るなら…

睡眠ステージは「測定値」ではなく「推定結果」として見る

睡眠ステージは「測定値」ではなく「推定結果」として見る スマートウォッチやスマートバンドを使うと、毎日の睡眠データが見られる。 睡眠時間。 深睡眠。 浅い睡眠。 レム睡眠。 中途覚醒。 睡眠スコア。 こうした数字が出てくると、ついそのまま信じたく…

睡眠スコアに振り回される前に、デバイスの限界を知る

睡眠スコアに振り回される前に、デバイスの限界を知る 睡眠データを見るようになると、つい細かい数字が気になってくる。 睡眠スコア。 深睡眠の時間。 レム睡眠の割合。 中途覚醒の回数。 睡眠中の心拍やHRV。 こうしたデータは面白い。 ただ、ウェアラブル…

睡眠は「何時間寝たか」だけでなく「どれだけズレたか」も見る

睡眠は「何時間寝たか」だけでなく「どれだけズレたか」も見る 睡眠を改善しようとすると、まず「何時間寝たか」を見たくなる。 6時間だった。 7時間眠れた。 今日は深睡眠が少なかった。 レム睡眠が多かった。 もちろん、それらも大事な情報だと思う。 ただ…

バイオハックの第一歩はサプリを増やすことではなく変数を減らすこと

** バイオハックの第一歩は、サプリを増やすことではなく変数を減らすこと 体調を整えようとすると、つい何かを足したくなる。 サプリを増やす。 食事法を変える。 運動を追加する。 睡眠グッズを買う。 新しい健康法を試す。 もちろん、それらが役に立つこ…