約5年前、香川県に帰ってきて、こちらで仕事をするようになった。
まずしたことは運転免許の取得である。
車の運転免許を持っていないらしい、雀鬼流で有名な桜井章一氏への憧れは置いておいて、
ここでは車の運転ができなくては、仕事がないどころか生活も相当に不便となる。
もちろん県内のどこ住みかにもよるが、
私の住んでいる場所は、ピザの出前すら圏外である。
もちろん徒歩圏内にコンビニはない。
・・・考えてみれば徒歩圏内には自動販売機すらない。
田舎は自動車を足として使うことが前提の設計となっている世界である。
大阪にいた頃は、移動は徒歩・自転車・電車だった。
本好きの私は電車の時間は完全なる読書タイムだった。
散策好きの私は自転車か徒歩でよく遠回りや寄り道をしながら移動した。
何か思いつけば足を止め、スマホを取り出す。
写真をとるもよし、メモをとるもよし、である。
軽い有酸素運動にもなっている。
大阪での移動時間というものは、なかなか快適で有意義な時間だったのである。
・・・ということを自覚したのは、香川で仕事をし始めてしばらく経ってからのことだ。
こちらでの移動時間というものはほぼほぼ車である。
車の運転をしている間というのは、他のことは何もできないのである。
音楽やラジオを聞く、ということが一般的だが、
私にはラジオを聞く習慣がない(完全なる活字派)。
音楽の好みはメタル・ロック・ポップスというよりはジャズ・クラシックである。
最初のうちはジャズやクラシックを車内で聴いていたが、
車で聴く音楽ではないことがよくわかった。
集中して聴き込むタイプの音楽にとって、車内はノイズが多すぎる。
音がまともに聴こえてこないのだ。
しばらくの間は、特に深く考えずに、適当にラジオを聴いたりダンスミュージックをかけたりしていた。
しかし、あるとき嫌気のピークがきた。
なんて無駄な時間だろう、と。
通勤で片道約30分、往復1時間は確定。
さらに仕事中の移動時間が毎日1~2時間はある。
なんと毎日毎日2~3時間を無為に過ごし続けているのである。
これが10年20年続くと考えるとゾッとする。
天才! 成功する人々の法則における一万時間の法則によれば、
毎日3時間何かに没頭し続ければ、10年後にはその道のプロになれるはずである。
これでは人生を捨てているに等しい。
そこから私の運転中を有意義に過ごすための試行錯誤が始まったわけである。
1.道を覚える
何か付加価値を見出そうということで、道を覚えるという意識で運転してみた。
知らない道があればとりあえず挑んでみる。
今でもたまにやっているが、なにせ到着時間が予測できない。
「あえてここで曲がる!」とかやっているわけだから当然のことである。
2.スマホを使って仕事をする
電話やラインでの指示などは運転しながらでもできる。
ブルートゥースイヤホンを使って、運転中でも通話できるようにした。
しかし、やっぱりどうも声が聞こえづらい。
こちらが聞こえづらいのはまだわかるからいいのだが、相手方が聞こえづらいのでは困る。
初めて通話するお客様と、とても通話する気にはなれない。
スピーカーモードも同様である。
結局大したことはできないし、大したことは車を停めてすることになる。
3.物事を考える時間とする
考えてみれば、車内というのは数少ない落ち着けるプライベートな空間である。
ここでゆっくりと人生計画を練り直すもよしだろう。
とも思ったが、結局運転しているのは自分であるから、危ない。
深く考えることはできないし、途中で何かを調べることもできない。
4.本を読む
スマホをスマホホルダーにかけて、運転しながらキンドルで本を読んでいく。
一瞬見て、また前を見る。一瞬見て、すぐ前を見る。
信号で止まれば、やや長めに読む。
ということを繰り返した。
とてつもなく目が疲れる。
事故って中止になるビジョンが見えたので、事故を起こすまえに中止した。
5.(車に備え付けの)ラジオを聴く
私が子供の頃からテレビを見なかった理由を、自分なりに分析してみると、
決められたタイミング(放送時間)に決められた場所(テレビの前)で、見なければいけないという縛りが、性格的に向いてなかったからだと考えられる。
テレビをつけたところで、何を視聴するのかを決めるのはテレビ側だということが気に食わなかった。
相当に自由気ままな性格なのか「タイミングと場所を決められるくらいならもう見なくていい」という判断だったのだろう。
ということで、ラジオを私が聴くわけがないのである。
が、今はポッドキャストがある。
6.ポッドキャスト(Audible)
これはタイミング(ダウンロード)も場所(スマホ)もフリーだ。
車内でポッドキャストをたまに聞くようになった。
特にはまったのはアマゾンによるラジオ(オーディオブック)配信のAudibleである。
中谷彰宏氏の配信に特にハマって、一時期毎日のように聴いていた。
そしてオーディオブックで様々な本を読んだ。
しばらくは楽しめたのだが、結局今ではまったく利用していない。
コンテンツがまだまだ少ないということももちろんあるが、おそらく最大の理由はそこではない。
私はマンガと本は大好きだが、映画やアニメはほとんど見ない。
前者は読み手が時間のコントロールをできるが、後者は時間のスピードを決めるのは作り手だから、というのが私の自己分析だ。
動画は、たいてい情報量が少なすぎるのである。
マンガ・本は情報量に応じてスピードを調節できる。
音楽は大好きだったのだが、最近は本当に聴かなくなった。
ある程度量を聴いてきて一段落ついたのもあるだろうが、やはり最大の理由は時間のコントロールができないからであろう。
というわけで、オーディオブックも定着しなかったのである。
7.英語学習
車内での利用を想定したスマホアプリはないのだろうか?という疑問を持つに至る。
その中で見つけたのがこれである。
いい音読アプリがあったのだ。
これも良かったのだが、続かなかった。
単純にあまり楽しくなかったし、そもそも外国語が苦手なのである。
8.歌う
そして、現在進行形の「歌う」に至る。
これは単純に楽しい。
最初はアカペラで歌ったりしていたのだが、
世の中にはカラオケアプリというものが存在するのだ!
私が使っているのはジョイサウンドのカラオケアプリである。
おそらく打ち込みのデータは本物のジョイサウンドのデータをそのまま流用している。
あっそういや記事を書いている。
私にとっては『歌う』が最強だった。
まったく飽きない!
楽しいだけじゃなくて、『歌う』ことのメリットは山のようにある。
筋トレに続いて、人に勧めることができる趣味が見つかったんじゃないかと、ワクワクしている。
歌おうぜ~!