時短読書ハック Sakatoの書評ブログ

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【書評】『ダンゴムシに心はあるのか 新しい心の科学』森山徹

心の気配

 

ダンゴムシに心はあるのか (PHPサイエンス・ワールド新書)

 

わけも分からず、意識とは関係ないのに、思いがけず涙があふれる。

そういう経験はあるでしょうか。

私は経験があるのですが、そうなってはじめて悲しさを抑え込んでいることに気づくことができました。

その瞬間まで、まったく涙を我慢しているという感じはなかったのですが。

これ「何を言って良いのかわからなくなってフリーズしてしまった瞬間」に一気にきたのです。

私のこの体験と同じことが、本書のアイデアの中核を為しています。

 

筆者は、心の働きは「行動の抑制」だと述べています。

 

ある刺激Aに対してある反応aを返す

別の刺激Bに対して反応bを返す

 

というのは人間でなく、もっと原始的な生物でも観察されます。

植物でもこれは観察されるでしょう。

これだけではまだ「行動の抑制」はありません。

 

刺激Aと刺激Bと刺激Cに対して、反応aを返す

 

という反応にはbとcという反応に対する抑制が働いています。

著者はこの抑制が心だと定義しているのです。

 

たとえるなら上司と会話中に、上司の方にカマキリが止まって笑いそうになった上に、エアコンの冷えでお腹がギュルギュル鳴り出した。

しかし、何もないかのように会話を続けた。

というような状況です。

「会話に答える」という反応以外の、

「笑う」「トイレに駆け込む」という反応を抑制しています。

 

 

 

そして本書のアイデアは

 

反応aが予期せぬ状況で中断された場合、

心は抑制されているb、cの反応からいずれかを自律的に選んで開放する

 

という仮説なのです(多分ね)。

 

先の私の経験で言います。

自分の考えを伝えようとしているのにまったく伝わっていなかったのです。

その悔しさ・悲しさに対する反応を抑制しながら、話しつづけていたのでしょう。

ある瞬間に、うまく言葉がつながらなかったか、大事なことを思い出せなかったか、言葉につまってしまった瞬間に、自分でも不可解なほどに涙がこぼれてしまいました。

 

ポイントは悲しみがK点を超えたから涙が出た、という感じではまったくなかったことです。

まさに、「心がフリーズを回避するため」に「勝手に抑制を解除しやがった」という感じでした。

 

もしこの上司の頭が突然パカっと開いて中からエイリアンが出てきたとしたら、

その瞬間、どのような反応を起こすか。

一瞬逃げようと思っても、体がまったく動かなかったら。

 

「カマキリを指さして笑う」ということがあり得ると思うのです。

 

わけがわからない状況になったら、心はとりあえず何かをしようとする。

という表現もできそうです。

とはいえ心は抑制するのが仕事ですから、何かをすると言っても

何かの抑制を解除するということです。

そもそも脳内で起こっていない反応の抑制を解除して発現させることはできません

 

さて、前回の記事のサイコパスと結び付けずにはいられません。

 

サイコパスは合理的判断を下す際に、

感情を抑制するというプロセスが欠けているのです。

冷たくしかし正しい合理的判断に至る前段階の、

熱い共感・感情を抑え込むというプロセスがないのです。

結果は同じ判断だったとしても、

そこに「心の気配」を感じられるかどうかは、過程に抑制があったかどうかなのです。

 

 

話を戻しますが

この仮説から、著者はダンゴムシの心の存在を示そうとします。

 

まず、ある行動パターンを見出します。

状況Aに対して反応aが起こる

というようなパターンを見出します。

それらの「理由が説明可能な」行動パターンを十分に見出した後に、

未知の状況Xをつくり、その状況に不合理な行動パターンを見いだす。

それで心の存在を示すことができる。

ということです。

 

ここはまだいまひとつ納得できていません。

未知の状況Xに対して発現した行動は、単なる反応xなのではないか?

と考えられるからです。

 

・・・。

 

A→a B→b C→c という行動パターンを見出した上で、

未知の状況C2に対して、c反応を起こす個体に混じって無秩序にbという反応を起こす個体を観察できた、ということのようです。

うーん・・・なるほど。

確かに、この心の定義であれば、それで心(抑制の存在)は示せているようにも思われます。

 

う・・・なんかよくわからなくなってきました。

もう少し読み込もうと思います。

 

心の定義のアイデアはとにかく非常におもしろく、示唆に富んでいます。

心の気配というフレーズ、とても素敵ですね。