こんにちはサカトです🙂
今回は『脳の寿命を延ばす「脳エネルギー」革命』という書籍のレビューをしようと思います。
>> 脳の寿命を延ばす「脳エネルギー」革命 ブドウ糖神話の崩壊とケトン体の奇跡 (光文社新書) | Amazon
非常に素晴らしい本でした。
この本を読もうかどうか迷っている方に、私がお伝えしたいことはひとつです。
『お医者さん』が書く本と、『研究者』が書く本では重みがだいぶ違う
この記事ではこの1点が伝えられたらいいかな、と思っています。
【書評】脳の寿命を延ばす「脳エネルギー」革命
これまでのケトジェニック本の著者は、たいてい「お医者さん」です。
斎藤量三、江部康二、宗田哲男、溝口徹、夏井睦、藤川徳美(敬称略)など。
この記事を読むくらいですから、みなさまもご存知であることと思います。
一方で、この本の著者である佐藤拓巳さんはバチバチの研究者です。
現・東京工科大学応用生物学部教授で東京大学農学部卒。
ニューロンの研究を数十年間、続けられている方です。
『医者本』
私は個人的に、お医者さんが書いた本のことを『医者本』と読んでいます。
『医者本』とはどういうニュアンスの言葉か。
ズバリ『医者本』ということは「イチ現場の声」だ、と言うことです。
まず勘違いして欲しくないのですが、私は『医者本』を軽く見たり程度の低いものと見ているわけではありません。
「イチ現場の声」、素晴らしいじゃないですか。
世界はいつだってイチ現場の声から変わっていく。
イチ現場の声
私自身も健康になるべく、自分の身体で様々な試行錯誤をしてきました(今もですね)。
その中でいろんな発見をするわけです。
それは素晴らしいことですが、その発見が「誰にでも通用するものかどうか」はまだまだはっきりしません。
ただの私の勘違いもあり得ますし、偶然であったり、環境や遺伝のせいだったりと…様々な懸念が残ります。
これが「イチ現場」の弱点です。
その一方で、この試行錯誤は「誰とも違う他ならぬ自分に効果があった」と言う「素晴らしいパワー」も持っているわけです。
いわば、これが「イチ現場」のパワーなのです。
お医者さんは実は「こちら側」
お医者さんは研究者ではありません。
研究者はめちゃくちゃ厳密にモノを語ります(少なくとも、そうあるべき存在です)。
もちろん私の試行錯誤と同じレベルとは言いませんが、ドクターというものは実は「こちら側」のグループなのです。
いくら論文を読んでいたって、こちら側です。私だって論文を読みますし。本職に敵うはずがありません。
研究者・専門家の弱点
一方で、研究者・専門家と呼ばれる側にも弱点がありますね。
例えば、旧来の思い込み(セントラル・ドグマ)から逃れなれないこと。
常識をひっくり返すような発見についていけないんです。
また「結局どうすればいいのかわからない」ような主張しかしないことも。
厳密さを優先しすぎて、パワーがないんですね。
『医者本』のパワーを受け取れ
要するに『医者本』は「不正確だけどパワーのある主張」である可能性が高いと言うことです。
この本が一瞬にして私を引きつけたのは
研究者サイドでありながら、パラダイムシフト側の主張をしているから
これはおもしろいに決まっているじゃないですか。
研究者がパラダイムシフト側の主張をするんです。
ということは「正確でかつパワーのある主張」が期待できるということではないですか?
実は医者本にも2種類あって、「流行りの健康法を、医学の常識でもってくさすだけ」みたいなしょうもない医者本もたくさん存在します。
そちらはまさに「常識サイド」であって、医者という権威を「発注者」に利用されているだけです。
「(つまんないから)医者が本を書くんだったらせめてパラダイムシフトを書けよ」というのが私のごくごく個人的な感想ですね…はい、ただの・個人の・感想ですよ。
乱暴に言ってしまえば、ドクターやそのへんのよくわからない個人が非常識なことを言っていてもあまりおもしろくない(笑)
ものすごく礼儀正しく穏やかな方が、裏で殺し屋をしているからおもしろいわけですね(?)
おわりに
なにか一瞬だけ熱くなってしまいましたが、私の主張は以上になります。
まったく触れませんでしたが、内容もバッチリおもしろいですよ。
KATPチャネルと難治性てんかん、難治性てんかんの子と取り組んだケトン食の実例、豊富な例え話でわかりやすい脳の解説…
そして最後に(著者が一番語りたかったのであろう)、鳥類の健康長寿の秘密!に至るまで、素晴らしい内容でした。
ぜひ手に取ってみてください。
それではまた。