こんにちはサカトです🙂
素晴らしい総説論文を見つけたので記事にしてシェアしようと思います。
タイトルは『コリン化合物の重要性と運動機能への影響』。
レシチンに含まれる成分である「コリン」に関する総説です。
肝機能・1炭素代謝・小胞体ストレスなどとの関わりについてお話しします。
あまり話題に上らず、見落とされがちな栄養素かなと思いますのでここでぜひチェックしてみてください🙂
ビタミン様物質コリンの重要性
では、それぞれ見ていきましょう🙂
コリンは何に含まれている栄養素か
大豆や卵に多く含まれるホスファチジルコリン(レシチン)や乳に含まれるスフィンゴミエ リンなどの色々な分子の形態で食品中に存在している。
コリンの主な供給源といえば、大豆と卵です。
ホスファチジルコリンとして含まれています。
卵や大豆製品を多く食べる人は、比較的に不足はしにくい栄養素だと言えそうです🙂
卵のレシチン量について、雑な計算をしてみました。
教えてもらったキューピーのデータから
— サカト @ オンライン遺伝子栄養指導の人 (@Sakato0) March 9, 2021
卵1個のレシチン量は 約1,6g ということになりました🙂
コレステロールは1個200〜260mgとか言われてるのとも、ちゃんと数字が合ってます。
1,5~2.0g くらいで思っておけばいいかなと🙂
卵からメガるのまぁまぁ大変ですね… pic.twitter.com/DMbcbx2Mik
卵1個(50g として)で大体 1,6g くらいのレシチン量になりそうです。
ホスファチジルコリンはその80%なので、1,28g ということになりますね。
その中で、コリン自体の量は…ちょっともう面倒臭いのでスルーさせてもらいます🙂
量の参考にしてください。
ビタミン様物質とされるコリン
アメリカでは FDA(食品医薬品局:Food and Drug Administration)が既に「コリン」をビタミン様物質として認めており,ライフステージに応じて摂 取基準が定められている。特に妊婦,授乳期の女性など はコリンの摂取強化が指摘されている。
アメリカはコリンをビタミン様物質として認めているのです🙂
これはなかなかに大切なことですよ。
というかもう、「ビタミンだと思った方がいい」ってことですね。
α-リポ酸 とか、PQQとかもそうですが…ビタミン同様に、「欠かせないもの」として頭に入れておくとよろしいかと思います。
少し前までの日本人は「味噌・納豆・豆腐」などでなかなかの量のレシチンを食べていたのかもしれませんね(たまの卵も)🙂
コリン欠乏食で肝機能が低下
Zeisel らは,被験者に対してコリン欠乏食を 3 週間に渡り摂取させた。通常にコリンを摂取していた 群に比べて血漿中のコリン濃度が 30%低下した。その 結果,血清中の alanine aminotransferase activity(ALT) が上昇し,有意な肝機能の低下を認めた 2)。
コリンをわざと欠乏させると、肝機能の低下が見られたとのことです。
逆に十分なコリンの摂取で肝臓を労わることができるかもしれないということですね。
レシチンは「抗脂肪肝栄養素」としても知られています🙂
分子栄養学の界隈では、「メチル基の供与のためにレシチンを飲む」といった視点もしばしば言われていますね。
ナイアシンの大量摂取による、肝臓負担のカウンターになると目されていますよ。
One carbon metabolism の不調に繋がる
また,コリン補給不足は One carbon metabolism に 関連した化合物の欠乏を招く。ビタミン B12 欠乏によ る貧血,だるさ,めまい,葉酸欠乏による免疫機能低下, 消化管機能異常,メチオニン欠乏による肝臓解毒能低下 などが発生する可能性がある。
ワン・カーボン・メタボリズムはこちら。
”1炭素代謝には、2つの中心的なサイクルを持つ複雑なネットワークが含まれます。(1)葉酸サイクル。(2)メチオニンサイクル(図1)。” *1
ワケがわかりませんが、コリン供給が滞るとこのサイクルに関連する物質の欠乏を招くようです。
とりあえず、「健全なワンカーボン代謝を回すためにもコリンは必要だ」と覚えておきましょうか。
コリンの副作用
一方,コリンの過剰摂取がもたらす悪影響と しては,コリン作動性の副作用(例えば,発汗,下痢) および魚臭様体臭と共に低血圧が挙げられる。そのため 成人に対する上限摂取許容量(UL)を 3.5g/ 日と定め ている。
コリンの副作用は下痢や発汗・魚臭症・低血圧、とのことです。
実践するに当たっては、頭に入れておくべきです。
魚臭症は腸内環境が健全だと防げるという話ですので、ある程度多い量を飲むのは腸環境に自信のある人限定ですかね🙂
コリン3、5g がレシチンでいうとどれくらいなのかわかりませんけど…🙂
筋肉の修復を促進する可能性
この時,コリン供与体を摂取することで供給不足が想 定される PC の合成亢進が効率的になる可能性があり, 筋肉の修復の亢進の可能性が示唆される。
小胞体ストレスとコリンの関係性について。
ここはちょっと小難しいのですが…。
ざっと説明しておきましょう。
例えばトレーニング後は、組織の修復や肥大のために大量のタンパク質合成が行われます。
タンパク質合成には必ず「失敗」も起こりまして、その失敗したタンパクは「小胞体」に集められます。
これを「小胞体ストレス」といい、過剰になると細胞死を誘導します。
この小胞体ストレスに対する細胞側の対応を「小胞体ストレス応答」といい、ホスファチジルコリンの合成を高めるなどして小胞体容積を大きくするようです。
この反応のためにはコリンが必要とされることから、小胞体ストレス応答のためにコリンが必要。
ひいては筋肉のためにも重要であると言うことが示唆されるワケです🙂
タンパク合成を亢進させることが多いトレーニー には、なかなかに重要なことかもしれません。
とはいえ卵を食べる人が多いでしょうから、トレーニーの場合は自然に満たされている可能性が高いですけども。
さすがですね🙂
α-GPC : アルファグリセロホスホコリン
α-GPC を摂取すると成長ホルモンの分泌が確認され ている 11)。成長ホルモンの一つの働きとしては,肝臓 から脂質を引き抜き,最も体で燃えやすいケトン体を血 中に放出する。
α-GPC は「アルファグリセロホスホコリン」で、レシチンにもわずかに含まれる形態のようです。
脂肪燃焼や筋肥大にも有利な可能性があるとのこと。
しかし食品からでは実験に使われたような薬理量の α-GPC を摂取することは無理なようで、あくまでサプリメントとして期待していくことになりそうです。
>> Jarrow Formulas, アルファGPC、300mg | iHerb
今回は以上になります。
なかなかに期待の持てる栄養素だと言えそうですね🙂
卵や納豆を多めに食べたり、レシチンサプリを飲んだりしてみるといい効果を得られるかもしれません。
とりあえず私もいろいろと試してみます…。
それではまた。